ピロリ菌
ピロリ菌は、正式名称「ヘリコバクター・ピロリ」と呼ばれる菌で、感染経路は井戸水やピロリ菌に感染している大人から子供への食事の口移しによる経口感染です。
一度感染すると胃の粘膜に生息し続けます。
日本では年齢とともにピロリ菌に感染する方が増える傾向にあり、60歳以上では約70%の感染率とも言われています。
ピロリ菌は、主に胃や十二指腸の病気、特に胃がんのリスクを高めますので、感染が分かった場合は、早めの除菌治療を行いましょう。
ピロリ菌によって引き起こされる症状・病気
胃の内部は、胃酸によって強い酸性の状態が保たれており、通常生物は生息できません。しかし、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を体内から作り出して胃酸を中和し、結果として胃の粘膜が傷つけられることになります。
年齢とともに胃の粘膜が委縮(老化)してきて胃がんのリスクが高まることが言われています。(約10倍)
ピロリ菌によって引き起こされる症状や病気は下記の通りです。
症状
- 胃もたれ
- 吐き気
- 空腹時の痛み
- 食後の腹痛
- 食欲不振など
病気
- 慢性委縮性胃炎
- 胃潰瘍
- 胃がん
- 十二指腸潰瘍
ピロリ菌の検査
ピロリ菌に感染しているかどうか、下記の検査で判定を行います。
血液・尿による抗体測定
血液や尿、唾液を採取して、ピロリ菌に感染した際にできる抗体がないかを調べる検査です。
糞便中抗原測定
便を採取して、ピロリ菌の有無を調べる検査です。
尿素呼気検査
検査用の薬を飲む前と後の、呼吸内の二酸化炭素濃度を調べることで、感染の有無を調べる検査です。
迅速ウレアーゼ試験
内視鏡で採取した胃の細胞に、ピロリ菌が出す酵素ウレアーゼがないか調べる検査です。
鏡検法
採取した胃の細胞を顕微鏡で確認し、ピロリ菌がいないかを調べる検査です。
除菌治療について
ピロリ菌の除菌には、胃酸の分泌を抑えるお薬と抗生剤2つの計3種類を1日2回、7日間服用する方法が用いられています。一次除菌により約70-80%の方が除菌に成功します。
除菌に失敗した場合には、抗生剤を1つ変更して再度7日間の服用を行います。
二次除菌を行うことで、除菌できる確率は約90%といわれています。
ピロリ菌の除菌治療後について
除菌治療後は、体内にピロリ菌がいないかの判定検査を行います。
この検査でピロリ菌が見つからなければ完了となります。
胃がんのリスクはピロリ菌だけではなく、食生活(高塩分)や喫煙なども関与しています。
ピロリ菌陰性であっても早期発見、早期治療には定期的な胃内視鏡検査が必要です。